2026/09/18 12:00
古い複写用鉛筆を入手したので、実際に使ってみました。
「複写用」とはいってもいったい普通の鉛筆とは何が違うのか。見た目だけではわからないのでその特徴を確かめてみることにしました。
複写用鉛筆とはコピー鉛筆とも呼ばれ、書いた文字や絵を水やプレス機を使って別の紙に転写できる特殊な鉛筆です。
芯にアニリンなどの水溶性染料が含まれており、普通に書いた文字は消しゴムで消すことができますが、転写したものや水で濡らして書いた文字は芯の中の染料が溶け出して紙の繊維に染み込み、インクのように消しゴムでは消せなくなる特性がある、とされています。
果たしてどんなものなのか、さっそく使ってみることに。
(複写用鉛筆についてはこちらに詳しく書いています。)

今回使用したのはこちら。いつも鉛筆を仕入れているセラーからいただいたドイツのLYRAの「CORONA 2128」。
芯はアニリン染料と思われる紫色をしています。
ちなみにこの紫色が不思議だな、と思って調べたことが複写用鉛筆を知るきっかけでした。

まずは普通に書いてみます。
芯が紫色なんだから当たり前なんですが、きれいな紫色の文字が書けました。
書き具合は普通の鉛筆と変わりありません。

消しゴムで消すと、うっすらと残りはしますが消すことができました。
水に濡らさなければ通常の鉛筆となんら変わりないようです。

それでは水に濡らすとどうなるのか。
水を含ませたティッシュに鉛筆を付けてみます。
すると見事に紫色の染料が溶け出しました。というか、ちょっとつけただけでたちまち広がります。その勢いにびっくり。
これがアニリン染料ですね。アリニン染料は毒性があるのでうかつに触れないよう注意が必要です。

今度は水に濡らした状態で文字を書いてみます。
書き具合は変わらないのですが、書き始めの部分はより濃くなっていますね。途中、薄くなった気がしたのでWの終わりの部分とと7のところで濡らしなおしました。この部分も他より濃いです。
どうやら水を含むと濃くなるようです。その特性を考えると当然で、水に濡れたことで溶けだしたアニリン染料が文字を濃くしている、ということですよね。

では「水に濡らすと消えなくなる」は本当なのか。さっそく消しゴムを使ってみます。
すると、薄くはなるんですが濡らしていない状態で描いた文字のようには消えません。特に書き始めの濃い部分は全然消えませんでした。完全にインク化しているようです。
というわけで、水で濡らすと本当に文字が消えなくなりました。まさに、水が引き出す不思議な性質を持つ鉛筆!
まだ現代のようにコピー機が普及していなかった時代、オフィスや官公庁で公的書類や契約書、帳簿の記入にはこの特殊な鉛筆が欠かせなかったのが分かります。
ボールペンの普及とともにその役割を終えていき現代ではすっかり見かけなくなりましたが、その存在はかつての複写文化を今に伝えてくれます。
