2026/08/19 08:33

高校生の頃アルバイトをしていたガソリンスタンドに「Made in W.Germany」と記された空気圧機器がありました。
「これ、西ドイツ製じゃん」
そう言ったら、他のバイト仲間から「よく気づいたな!」と言われて盛り上がったのを覚えています。
90年代後半のことです。ドイツが東西に分かれていた時代はすでに終わっていましたが、身近なところにはまだ「Made in W.Germany」の製品が現役で残っていました。

今ではその「Made in W.Germany」は、私にとってヨーロッパのヴィンテージ品を見ていくうえでとても興味深い手がかりのひとつです。
Altwaren728のアイテムはミッドセンチュリー期のドイツのものが主で、それはドイツが東西に分かれていた時代のものでもあります。そのアイテムが西ドイツ(ドイツ連邦共和国)製なのか東ドイツ(ドイツ民主共和国)製なのか、それを見極める手っ取り早い方法が「Made in 〇〇」の印。
西ドイツ製なら「Made in W.Germany」、東ドイツ製なら「Made in DDR」(東ドイツについてはまた別の機会に触れます)。商品を仕入れていく中でこれに出会うと、まさに自分が求めているものだ! と嬉しくなります(笑)。

では西ドイツ製ならすべて「Made in W.Germany」とあるのかというとそうでもありません。
他によく見かけるのは「Made in West Germany」、「Made in」を省略した「W.Germany」や「West Germany」など。
また、残念ながらまだ見たことはないのですが、ドイツ連邦共和国(Bundesrepublik Deutschland)の略称「BRD」というのもあるようです。主にヨーロッパ向け製品に記載されていたようですね。
そして思いのほか多いのが、「Made in Germany」や「Germany」といった西を付けない表記。

なんで「Germany」表記が多いんだろうと思っていたら、どうやら作られた時期によるようです。
東西の分断間もない1949年から1950年代は表記が安定しておらず、単に「Germany」や「Made in Germany」とだけ記された製品が多いそう。
そういえば私が見つけたアイテムも、「Made in Germany」表記はこの年代のものが多いです。こちらの1950年代の時計はどちらも「Germany」表記ですね。
この他、この時期には「Made in Western Germany」というちょっと長い表記のものもあるそうです。
ちなみに、米国占領地域で作られたものには「Made in Germany / U.S. ZONE」という表記があることも。いつか出会いたいですね。

続く1960年代〜1970年代は、ベルリンの壁も築かれ東西の区別が明確になった時期。この頃の西ドイツ製品には「W.Germany」や「West Germany」と表記されるようになります。
Altwaren728のアイテムも、FAT LAVAやフォトフレームなどミッドセンチュリー期の西ドイツらしいものに見ることができます。
また、工業製品などは西ドイツの技術力をアピールするため目立つ場所に「Made in W.Germany」と記されることが多かったようです。かつてのアルバイト先にあった空気圧機器はまさにこれですね。
そして大量生産の時代だったからこそ省略形の「W.Germany」が流行ったようです。

とはいえこの時期にも「Made in Germany」表記の西ドイツ製品は多くあるようです。
このHutschenreutherのアートポタリーやゾーリンゲンのシザー&レターオープナーセットの専用容器の裏には「Germany」と刻まれていますね。どちらも1960〜1970年代のものです。

1980年代、統一が近づくにつれ西ドイツ製であっても再び「Made in Germany」表記が増えたといいます。そして1990年10月の東西統一以降は、「Made in Germany」表記が一般的になったのでした。

ドイツが東西に分断されていた1949年から1990年までの間の製品のみに残る「Made in W.Germany」。そう思うと感慨深いです。